【記事の概要】
【思ったこと】
事業再生の重要なスキームの一つである、「経営者保証のガイドライン」が、こういった新聞記事(実名アリのストーリー)で紹介されたことは初めてではないでしょうか?
「金融庁が●●という制度を始めました」といったプレスリリースのような記事はよく見かけますが。。。
この記事をきっかけに、事業再生を図ろうとする経営者が「経営者保証のガイドライン」について、認知が広がることを期待します!!!
「経営者保証のガイドライン」の詳細ついては、以下のHPを参考下さい。
乱暴な言い方ですが、「借金棒引き」の制度なので、当然、良いことばかりではありません。注意点を「ザックリ」覚えておいてください!
1_免除の対象は、連帯保証人の連帯保証 であり、会社の債務ではないこと
よく誤解されることが多いのですが、対象は「連帯保証人の連帯保証」です。会社の債務については、何らかの私的整理手続(特定調停、再生支援協議会スキーム他)で処理をすることが必要です。
2_私的整理スキームであること
対義語としての、法的整理スキーム(民事再生、自己破産等)のように裁判所の管理下で、法律に基づいて行われるスキームと異なり、「経営者保証のガイドライン」は、ガイドライン(ルール)はあるものの、法的拘束力は無く、あくまで、当事者間(金融機関と保証人・代理人_弁護士)の話し合いにより各種手続きが進みます。
→つまり、経営者が申し立てを金融機関に行ったとしても、それを金融機関が受けて頂けるか否かは、金融機関次第です。
3_整理の対象となる債務は、金融機関債務に限られること
金融機関債務以外の債務(仕入債務、未払給与、各種税金)について、1_支払の目途が立っていること、2_法的整理等により、整理の目途が立っていることが前提となります。
→一般的に、会社の経営が厳しくなると、税金の滞納が増えてくるケースが多いと思います。税金について、私的整理(減額の交渉など)が可能なケースはまず無いので、特に「税金の支払の目途」が重要なポイントになります。
4_(もちろん)一定の保証債務の履行は求められること
連帯保証人である経営者は、「経営者保証のガイドライン」を用いることで、一定の資産(一定期間の生活費、自宅等)を残すことは可能ですが、一定の資産を超える資産については、換価して保証債務を履行する(返済する)ことが求められます。
→ここでいう「一定の資産」について、自己破産のケースと比べると、「多く残せるケースが多い」といわれています。
5_ガイドラインの手続き完了後、再起して借入をする場合の借入のハードル
この新聞記事では、破産のケースと比して、「経営者保証のガイドライン」を用いると、再起のための借入のハードルが低いようなニュアンスがあります。
確かに、破産のケースだと、信用情報(ブラックリスト)や官報への掲載がありますが、「経営者保証のガイドライン」だとそれはありません。
しかしながら、貸すか?貸さないか?は、債務者と金融機関(債権者)の交渉の結果なので、借りることの出来る保証は当然のことながら、ありません。
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