中小の無形資産一括で担保に/日経_201105

【記事の概要】

 金融庁は、中小企業の事業支援を促す融資改革の議論を始めた。

 不動産担保や経営者の個人保証に偏った融資慣行を見直し、企業の技術や顧客基盤など無形資産を一括で担保(包括的な担保)にできる制度づくりを目指す。


 将来有望な企業でも担保がないために融資できず、事業拡大に必要となるリスクマネーを供給する手段に乏しかった。


 事業全体を担保にすれば、銀行にとっても融資先を再生させることが自らの利益となるため支援に前向きになる可能性がある。事業進捗をきめ細かく確認し、経営悪化を防ぐ動機が生まれ、貸倒による信用コストを減らす効果も期待される。 リスクに見合った適切な金利設定も課題。

 ⇒銀行の「目利き力」が問われる。


 アメリカ、カナダ、オーストラリアが同様の制度を採用している。米国の創業期の企業は、投資家による出資と銀行融資を組み合わせて資金調達するのが一般的。


【思ったこと】

 「不動産担保・経営者保証に偏らない中小企業融資」というテーマの議論は、今に始まった話ではなく、経営者保証のガイドラインや、ABL協会等で議論・制度設定がなされています。



 確かに、財務内容の良い企業において、経営者保証を外すケース、事業再生期の企業において、複数名の保証を代表者1名とするケースは、かなり増えてきた印象です。

 しかしながら、担保については、まだ不動産担保に偏っている状態で、動産担保の設定が行われたケースを実際に経験する機会は限定されています。

 ⇒例_換金性の高い棚卸資産(車両)、テナントの敷金など


 アメリカ等で、「包括的な担保」が普及したのは、不動産に価値や流動性がある地域は、都市部に限られ、立地によっては、不動産の価値や流動性がほぼ無い、という事情があったからだと言われています。

 数年前、スルガ銀行が脚光を浴びていたのは、比較的リスクの高い融資(収益物件)を積極的に行い、高い収益性を確保していた点でした。もっとも、「かぼちゃの馬車」問題や、創業者一族のガバナンス不全の問題で、評価は下がってしまいましたが・・・。


 この「包括的な担保」を積極的に取組むことは、地域金融機関としてのあるべき姿の一つだと思います。そんな金融機関の出現が待たれます。




 





 

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