劣後ローン急増 銀行にジレンマ/日経_201103

【記事の概要】

 大手銀行が企業による劣後ローンの需要急増に身構えている。

 劣後ローンは、資本と借入の中間(メザニン)に位置する金融商品。倒産時などに、返済の順位が他の借金に比べて後回しになる。

 (追記)劣後ローンは、利益水準に応じて、以下の仕組みで金利が変動する。

 利益が出ている時期_金利が高い。(利益が出たので、株主に対して、配当を出す。)

 利益が出ていない時期_金利が低い。(利益が出ていないので、配当を出さない。)

~~日本政策金融公庫_国民生活事業 の劣後ローンの金利水準~~


□銀行のジレンマ

 メガバンク幹部のコメントは以下とのこと。


「表現は悪いが後ろ向きの需要であり、単純に利回りが良いから実行、とはならない。」

「(融資だけにたよらず)、増資や社債発行などで投資家に信を問うというのがあるべき姿だ。」


 また、利益相反の問題もある。劣後ローンの貸し手としては、焦げ付きを避けるため企業への融資を増やして延命させる動機が働く。半面、通常の融資の貸し手としては、信用力に陰りが見えた企業からは回収を急ぐ方向に動きやすい。同じ銀行が両方の出し手になると、難しい判断を迫られることになる。

 

【日本政策金融公庫の劣後ローンの紹介】

 現状において、中小企業が劣後ローンを検討しようとした場合、日本政策金融公庫と一部の地銀が候補となります。ここでは日本政策金融公庫_国民生活事業 のケースを紹介します。


 利用の要件のうち、3の、「認定支援機関の指導を受けて事業計画を策定し民間金融機関等との協調支援により事業の発展又は継続を図る方」について、解説をします。


「認定支援機関の指導を受けて事業計画を策定」

 認定支援機関とは、税理士、会計士等の士業、コンサル会社、銀行等をいいます。約3万の人・法人が登録されています。つまり、言い方は悪いですが、玉石混交の状況ですので、支援実績等を確認して、パートナーを選ぶ必要があります。

「民間金融機関等との協調支援」

 民間金融機関等が日本政策金融公庫の融資に合わせて、または融資後一定の期間内に、新たな融資を行うことが要件となります。

 

【思ったこと】

 中小企業にとって、劣後ローンによる資金調達は、以下の点で非常に合理的だといえます。


 ・金利が高い反面、借入を行っても、(対BK上は)資本の増強につながる。


 一方で、問題となるのは、「既存融資の借換は対象外」と言われていることです。

 (マクロ的な視点では、)現状において、各種コロナ対策により、中小企業における運転資金の確保については、「一定の目途がついた」と言われています。

 よって、「この劣後ローンの利用が検討できる中小企業は、「ある程度限定される」ことが予想されます。


====以下、日本政策金融公庫のHPから抜粋===========

~利用の要件~

新型コロナウイルス感染症の影響を受けた法人または個人企業の方であって、次のいずれかに該当する方

1_J-Startupプログラムに選定された企業(注1)又は中小企業基盤整備機構が出資する投資ファンド(注2)から出資を受けた方


2_中小企業再生支援協議会の支援を受けて事業の再生を図る方


3_(注3) 原則として認定経営革新等支援機関(認定支援機関)(注4)の指導を受けて事業計画を策定した方であって、かつ民間金融機関等との協調支援(注5)により事業の発展又は継続を図る方


(注1)J-Startupプログラムに選定された企業は、J-Startupホームページから確認できます。

(注2)主に「起業支援ファンド」または「中小企業成長支援ファンド」に分類される投資ファンドから出資を受けた方が対象となります。お客さまが出資を受けている投資ファンドが、中小企業基盤整備機構が出資しているかどうかについては、中小企業基盤整備機構「出資ファンド検索システム」からご確認いただけます。検索の結果、対象になるか不明な場合は、支店の窓口までお問い合わせください。

(注3)「新型コロナウイルス感染症特例リスケジュール支援」又は「再生計画策定支援」を受けている方に限ります。

(注4)認定支援機関は、以下のサイトから検索することができますのでご確認ください。

(注5)原則として、民間金融機関等が日本公庫の融資に合わせて、または融資後一定の期間内に、新たな融資を行うことをいいます。


 



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