【記事の概要】
・菅総理が就任以降、地銀の再編が話題に上っている。
→直近でも、静岡BKと山梨中央BKの業務・資本提携が発表。
□金融機関の分類と預金量
メガバンクの再編がほぼ完了していることに比して、地銀は再編がほぼ進んでいない。
□地銀の56%が「本業が赤字」の状態にある。
本記事では、本業が赤字≒営業利益が赤字 の状態にもかかわらず、市場の原理(淘汰)が進んでいないことを問題視している。
□生き残りの道
生き残りの道は以下の3つと指摘している。
1_非上場化
2_異業種との連携・傘下に入る
→SBIホールディングス「第4のメガバンク」構想
3_同業種内での再編
【思ったこと】
金融機関の再編(地銀・信金・信組等)が中小企業に与える影響については、以下のブログ記事で検討をしました。
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地銀再編 金融庁に意見も/日経_201017
https://www.nbc-turnaround.com/posts/10875610
~要約~
・ポイントは、「金融機関の選択肢」の「多い・少ない」である。
・現時点で、選択可能な金融機関が少ない地域(地方都市の一部_例_下呂市)において、金融機関の再編は影響が大きい。
・一方で、選択可能な金融機関が多い地域(主に大都市)において、金融機関の再編が起こっても、与える影響は限定的。
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今回は、「地銀の再編」に絞って、中小企業に与える影響を検討してみます。
地銀の再編は、以下のケースで進むことが予想されます。
1_近隣の自治体で再編を行うケース
→具体例_静岡銀行と山梨中央銀行 横浜銀行と千葉銀行
2_SBIホールディングス等のグループに入るケース
→具体例_SBIが、清水銀行に出資
3_自治体で(規模の割に)複数の地銀が存在する地域で、同一地域内で再編を行うケース
→具体例_長崎県_十八銀行と親和銀行 三重県_三重銀行と第三銀行
それぞれについて、中小企業に与える影響を考えてみます。
・上記1・2のケースで、中小企業の「金融機関の選択肢」が減るケースは、各行の主要な営業地域を考えると、かなり限定的だと思います。
・上記3のケースで、中小企業の「金融機関の選択肢」が減るケースは考えられますが、減った選択肢を信用金庫・信用組合で補完できれば、影響は限定的だと思います。
・中小企業が資金調達をする場合、地銀・信金・信組で、(若干の金利差はあるものの、)今のところ、商品性に大差はありません。※1(保証協会付融資に限ると、同じもの。)
※1 信金・信組は、企業規模による制限、同一企業の金融機関内における融資シェアによる制限があることは注意が必要です。
以上の点から問題となるのは、「地銀の再編により、金融機関の選択肢が減少し、それを信用金庫・信用組合で補完できないケース」に限られると思います。
→弊社のお客様の決算書を思い浮かべてみても、特にこのケースに該当しそうな地域は見当たりません・・・。
よって、地銀の再編が、中小企業に与える影響は、今のところ「限定的」だと思います。
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