【記事の概要】
経営環境が厳しい地銀について、菅首相は「再編も一つの選択肢」と述べている。
同一県内の地銀の統合を独占禁止法の適用除外とする特例法が成立し、20年11月に施行される。
公正取引委員会の委員長古谷氏は、「生き残りに向けた統合に理解を示した一方、利用者(個人・法人)の利益につながるかを厳しく監視し続ける考え」を強調した。
【思ったこと】
金融機関の数が多い、都市部(名古屋市内など)については、ある程度統合が進んだとしても、中小企業の資金調達に関する外部環境に大差は無いと思います。
そこで、今回は、筆者が長年、仕事をしている具体的な地方都市(下呂市、高山市)における「金融機関の状況」をまとめてみました。
(あくまで、筆者の所感であることをご留意ください。)
■下呂市と高山市の「金融機関の状況」
下呂市は、メインバンクの現実的な選択肢は、十六銀行のほぼ一択の状態です。
益田信用組合は、規模が小さく、高山信用金庫は、あくまで出先の支店に過ぎず、JA飛騨は、対中小企業融資にはそれほど積極的とは言えません。
メインバンクは、十六銀行。サブバンクとして、益田信用組合、JA飛騨、政府系金融機関とお付き合いすることが現実的な選択肢となっています。
一方で、隣の高山市(下呂市から約50K)に行くと、十六銀行の他に、メインバンクの選択肢は一気に広がります。
ほぼ同じ規模で岐阜県を拠点とする大垣共立銀行、本店がある高山信用金庫、信用組合ではありますが、高山信用金庫と同規模の飛騨信用組合(ただし、規模の制限あり)があります。
また、サブバンク候補として、北陸地方の地銀2行もあります。
■銀行の選択肢が少ないことのデメリット
財務内容に問題が少ない企業については、銀行の選択肢が少なくても、大きなデメリットは少ないと思います。(事業規模に応じた)一定の融資額までであれば、融資は比較的スムーズに受けることができると思います。
一方で、財務内容に問題がある企業については、銀行の選択肢が少ないことで、以下のようなデメリットが考えられます。
1_融資条件(金利、借入期間、担保他)について、比較検討する余地が少ない。
2_メインバンクとの関係性維持について、より一層、気を遣う必要がある。【特にこちら】
■結論
(資金調達の方法が限定される_銀行からの融資)中小企業において、金融機関に関する外部環境は極めて重要で、生命線であるといっても過言ではありません。
地方都市における金融機関(地方銀行、信用金庫、信用組合他)の統合については、かなり詳細かつ具体的な検討を期待します。
今回の事例のように、隣同士の自治体(下呂市と高山市)でありながら、金融機関に関する外部環境には大きな違いがありますので・・・。
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