【記事の概要】
非正規の待遇格差を争われた5件の最高裁裁判で、その判断が出そろった。
手当の格差を不合理だとした一方、賞与と退職金は一定の格差を容認する結論となった。
「同一労働同一賃金」を推進する厚生労働省は、企業向けのガイドラインを設けてルールの徹底を求めている。
労働法を専門とする同志社大学の土田教授は以下の指摘をしている。
・個別の賃金・休暇制度の趣旨を重視して、不合理な格差かどうかを検討する枠組みを示した。
・企業側は非正規従業員に納得がいく説明をすることが一層求められる。
【補足】
厚生労働省のHP(https://www.mhlw.go.jp/hatarakikata/same.html)から以下を抜粋。
同一労働同一賃金とは?
・非正規雇用労働者(パートタイム、有期雇用、派遣)について、以下の①~③を統一的に整備すること。
①不合理な待遇差を無くすための規定の整備
②労働者に対する待遇に関する説明義務の強化
③行政による事業主への助言・指導等や裁判外 紛争解決手続(行政ADR)の規定の整備
・大企業については、適用済(2020年4月~) 中小企業は2021年4月から適用。
【思ったこと】
今回の最高裁判決(同一労働・同一賃金)について、中小企業に与えるインパクトについて検討をしてみました。
原価及び経費に占める非正規社員人件費・労務費の割合が大きい企業ほど、損益に与えるインパクトが大きくなります。
例えば、愛知県に多くある以下の「部品組付業」で検討をしてみました。
・トヨタの協力会社
・治具等を使った手作業による部品の組立・検品を中心に行っている。
・労働力の大半を、パート社員、派遣社員で確保している。
このような部品組付業の場合、労務費比率が30%を超えるケースは珍しくありません。
また、正社員について、入社して数年間は、パート社員と一緒に、部品組付業務を行うことは自然だと思います。
以下のケースだと、営業利益が10百万円から6百万円に減額となり、実に利益の半分以上が吹き飛ぶ結果となります。
少し極端な例ではありますが、労働力を非正規に頼っている業種であれば、十分にあり得る話だと思います。
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