【記事の概要】
・この記事は、税理士である藤曲武美氏の投稿です。
・コロナ禍にによる賃料売上減少により、賃貸オーナーの事業経営に影響が出ている。
・賃貸オーナーは、相続税対策のために、多額の物件取得に係る費用を借入で調達しているケースが多いので、借入金の返済に影響が出る可能性がある。
・筆者は、現状の賃貸オーナーに対する支援策が「ほぼ無い」どころか、「合理的とは思えない」ものが多いと指摘している。
1_持続化給付金(個人事業主_~100万円、法人_~200万円の給付)について、個人賃貸オーナーは対象外であること。※1
2_固定資産税の減税措置について、賃貸不動産のうち「建物」は減税の対象となるが、「敷地」は対象外となること。
3_家賃支援給付金について、借主に対しての支援に留まり、賃貸オーナーに対する支援はほぼ無い。
※_1個人事業主として家主が得るアパートなどの家賃収入は、税法の規定で「不動産所得」として確定申告する。このため、事業収入を対象とする給付制度の対象額となる。一方、法人の不動産業者は家賃収入を事業収入として申告するので、給付金を受けられる。
【思ったこと】
・筆者の指摘する「影響が大きくなる賃貸オーナー」のケースを考えてみました。
□賃貸アパートオーナー
→地方の大規模な工場の近隣に、工場に勤務する派遣社員の需要を見込んで賃貸アパートを建築。
→相続税対策として、建設資金の大半を銀行借入金で調達。
→コロナ禍による工場の操業減により、派遣切りが発生。借主の退去が増え、空室が増加し、賃料収入が減少。
→借入金の返済原資の大半は、「賃料収入」となるので、借入金の返済の為に、私財を投入することに・・・。
このケースで、上記の支援策を検討すると、以下となります。
1_持続化給付金→対象外。
2_固定資産税の減税措置→減税の対象は建物のみ
3_家賃支援給付金→恩恵受けられず・・・。
・このように考えてみると、「所得を生み納税をする」という効果・結果は同じなのに対して、事業の形態(中小企業オーナー、賃貸オーナー)が異なるだけで、ここまで支援策に差が出るということは、筆者の指摘「合理的とは思えない」に納得する部分は多いですね。
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