【記事の概要】
成長戦略会議_※1 が、実行計画を発表しました。
※1_成長戦略会議とは、菅政権発足後にスタートした会議体で、国の成長戦略を議論することを目的としています。メンバーは、大臣3名と有識者8名で構成されています。
有識者は、大手企業のトップ5名に加えて、竹中平蔵氏、デービットアトキンソン氏、三浦璃麗氏が入っています。
この実行計画は、全15章で構成されています、中小企業に関する第7章「足腰の強い中小企業の構築」について、全文を掲載します。
第7章 足腰の強い中小企業の構築
ウィズコロナ、ポストコロナへの対応は、我が国の労働生産性の改善に取り組む好機であり、デジタル化の推進、合併・M&Aによる規模拡大、業態転換、スタートアップ企業の環境整備、人材育成などを通じて、中小企業も大企業も含めた日本全体で労働生産性の向上を図る必要があることについて、有識者の意見の一致があった。
その際、大企業より労働生産性の高い中小企業も存在し、業種や業態、企業ごとに状況は異なるため、規模の大小にかかわらず、それぞれの企業が持つ強みをいかに伸ばすかという視点で考えるべきとの指摘が多かった。
一方で、労働者の7割が中小企業で働いていること、大企業の生産性に対する中小企業の生産性は5割程度であることから、中小企業の生産性向上に取り組む必要があり、規模拡大が重要であるとの指摘があった。
また、中小企業が地域の雇用のみならず、地域のコミュニティや共助を支えるなど、重要な機能を有しており、生産性向上に当たっては、地域社会等の意見もよく聞きながら進めていくことが重要との指摘があった。
中小企業政策が、小規模事業者の淘汰を目的とするものでないことは当然であり、ポストコロナを見据え、中小企業の経営基盤を強化することで、中小企業から中堅企業に成長し、海外で競争できる企業を増やしていくことが重要である。
あわせて、地域の経済や雇用を支える小規模事業者が持続的に発展することは重要である。
このため、中小企業の経営資源の集約化による事業の再構築やデジタル化など、中小企業の生産性を向上させ、その足腰を強くする仕組みを構築し、創意工夫する企業を応援していく。
1.規模拡大を通じた労働生産性の向上
後継者問題に悩まされている企業が黒字廃業することなく、価値ある事業を存続させるには、M&Aを含む事業承継の促進を通じて、企業規模の拡大に貢献する道筋を用意していくことが重要との指摘があった。
合併等により中小企業の規模を拡大し、生産性を引き上げていくことは重要である。中小企業の廃業は、対前年比で2割以上増加し、過去最高水準で推移しており、更に廃業等が進み、雇用や地域社会に大きな影響を及ぼさないよう配慮が必要である。
このため、以下の方向で施策を検討する。
(1)中小企業の規模拡大のための税制支援
中小企業の合併を通じた規模拡大等による生産性向上を進めるため、経営資源の集約化(M&A)を税制面でも支援することが重要であり、譲渡を受ける中小企業に対し、税制上の措置について検討を行い、令和3年度税制改正(2021年4月)において結論を得る。
(2)中小企業から中堅企業への成長途上にある企業についての支援
2021年の通常国会において、一定の補助金や金融支援について、中小企業だけでなく中堅企業への成長途上にある企業を支援対象に追加する法改正を検討する。
例えば、製造業等(現行、資本金3億円以下又は従業員数300人以下が中小企業)、卸売業(現行、資本金1億円以下又は従業員数100人以下が中小企業)、サービス業(現行、資本金5,000万円以下又は従業員数100人以下が中小企業)、小売業(現行、資本金5,000万円以下又は従業員数50人以下が中小企業)について、資本金基準によらない支援策を設けることができるよう検討する。また、中小機構の支援対象を拡大するよう、中小機構法の法改正を検討する。
2.事業再構築等への支援
中小企業・中堅企業の規模拡大、新分野展開、業態転換等を通じた事業再構築を支援する有効な新たな補助制度の整備を検討する。 あわせて、ものづくり補助金や持続化補助金、IT導入補助金を引き続き措置することで、中小企業・小規模事業者が、コロナ禍の中で投資を進めることを支援する。
さらに、民間実質無利子融資の申込期限については、本年12月31日となっているが、年度末の資金需要の高まりによる日本公庫の窓口混雑緩和のため、年度末までの延長を検討する。
また、新たな信用保証制度の創設を検討する。
銀行の業務範囲規制等の見直しも踏まえつつ、地銀・民間ファンドと連携して、地域の企業に対する政策金融機関による資本性資金の供給の取組を強化する。
3.大企業と中小企業との取引の適正化
(1)約束手形の利用の廃止に向けた行動計画の策定等
省略。
(2)下請ガイドライン等の業種の拡大
省略。
(3)下請代金法、独占禁止法による優越的地位の濫用等の執行強化
省略。
(4)大企業と中小企業の連携促進(「パートナーシップ構築宣言」企業の拡大)
省略。
4.スタートアップ企業への投資拡大
省略。
5.産学連携による中小企業群の創出
省略。
6.中小企業診断士制度の在り方
中堅・中小企業の経営を担うことのできる人材の裾野を広げていくため、中小企業診断士制度の在り方やその活用促進について、検討を深め、年度末までに結論を得る。
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