「製造業における原価計算」を以下のSTEPでお話しします。
今回のテーマは、STEP3 自社の原価計算の進め方を検討する です。
はじめに 原価計算はなぜ必要なのか?【第1回】
STEP1 自社の原価構成を把握する 【第2回】
STEP2 自社の生産タイプを把握する【第3回】
STEP3 自社の原価計算の進め方を検討する 【今回のテーマ】
STEP4 原価計算に必要なデータを収集する
STEP5 用語を整理する
STEP6 原価計算制度の構築スケジュールを検討する。
STEP3 自社の原価計算の進め方を検討する
原価計算の進め方は大きく分けて、2つの方向性があります。
PJ型_プロジェクト活動として、原価計算の構築を行う。_緊急度は低い。
緊急型_窮境原因を究明するために、経営陣主導で、原価計算の構築を行う。_緊急度が高い。
原価計算を進めようとすると、社員の皆さんには、一定のストレス(作業日報の作成、集計作業、集計結果に基づいた業務改善)がかかります。理想としては、社員の皆さんを巻き込んで、社員教育の一環として、理解を深めながら原価計算の精度を高めていく進め方が理想です。
今回は、上記の「PJ型」の進め方について、ご紹介します。
1)原価計算PJを組成する。
組織横断でPJを組成します。PJの裏目的として、「原価計算に向いている社員の発掘」があります。原価計算に求められる資質・スキルは以下となります。 原価計算は、「向き」「不向き」がハッキリするスキルですので、数か月PJ活動を行うことで、「原価計算に向いている社員」を見つけることが出来ることが多いです。
A)几帳面な性格 原価計算のベースとなる集計作業は、日報のチェック、地道な入力作業等が必要不可欠です。几帳面な性格が求められます。
B)原価計算を「面白い」と思える好奇心 一般の経理の仕事は、正確な集計・処理を行うことが目的ですが、原価計算の仕事は、集計・処理を行うことは第一ステップにすぎません。それ以降の原価データを用いた「改善活動」が目的となります。原価計算の「面白さ」を自己で感じて、その「面白さ」を他の社員にPRする好奇心あふれる性格が求められます。
2)勉強会の実施
第2~3回で紹介した、以下の内容に関する勉強会を実施して、全体像を掴みます。電卓を使って実際に計算をしてみることがポイントです。
STEP1 自社の原価構成を把握する
STEP2 自社の生産タイプを把握する
3)試験運用
まず、➀工程の複雑性(工程がシンプル)、②生産量の多寡(生産量が多い)等の観点から、原価計算を行う、A)製品、B)工場、C)工程 を限定して試験運用を行います。
工程が複雑だと、コストセンター(コストが発生する工程・作業等)の把握が困難となります。
また、生産量が少ないと、データを収集するのに時間を要しますし、異常値が出やすくなり、試験運用には適しません。
4)本運用
一定期間の試験運用を経て、本運用となります。原価計算は、先に述べた通り、現場に一定のストレスがかかりますので、試験運用を通じて、必要十分なデータを収集する手法を確立した上で、現場のストレスを最小限に抑えることが、成功への近道となります。
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